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サントラ紹介:「va-11 hall-a COMPLETE SOUND COLLECTION」

この記事は、2019/8/24(土)に開催された「第108回 トライノート おすすめサントラスペシャル」内で筆者が発表したものをブログ記事用にアレンジしたものになります。当日の発表スライドは下記のリンクからご参照ください。

 

docs.google.com

 

今回は、Steam/PSVita/PS4/NintendoSwitch等で配信されているゲーム「va-11 hall-a」のサウンドトラックの紹介記事です。ゲーム内容の紹介とサントラの紹介を合わせてさせて頂きます。  

 (ゲーム紹介)

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まずはゲームの紹介から。

ベネズエラの開発会社「Sukeban Games」が2016年に発表したゲーム。ジャンルは「サイバーパンクバーテンダーアクション」と称されているが、テキストアドベンチャーバーテンダーのアクションがちょこっと加わったものです。

物語の主人公は女性バーテンダー「ジル」、彼女が勤務するバー、地名がVA地区11番ホールのaであることから、「va-11 hall-a」通称”ヴァルハラ”でオーナーの「ボス」や様々な人たちと出会い話してゆくことを体験してゆく物語になります。

プレイ画面を用いて、もう少しだけゲームを紹介させてください。

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接客画面はこんな感じ。左半分がジルが見ている仕事風景。意外と細かくて画面上にあるテレビのチャンネルもプレイ中に変えることができます。勤務中に様々なお客さんが来店するので、その希望に合わせてカクテルを作って行くことになります。

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 カクテル作成時の画面はこの通り。

左画面がカクテルのレシピが載っているメニューウィンドウに変わります。お客さんからオーダーされたカクテル(もちろんカクテル名でオーダーしてくる人がほとんどですが、「ソフトなやつ」などイメージでオーダーする人も時々いるし、お客さんのオーダーしたもの以外を提供することもできる)をレシピ内で検索すると、カクテルの特徴と作り方が紹介されます。

「va-11 hall-a」のカクテルは、本物のカクテルみたいにお酒やソフトドリンクを用いるのではなく、作中オリジナルの化学合成物をミックスして作られます。ちなみにニンテンドースイッチだと、作成時にジョイコンを振って実際にシェイク出来るので楽しい。

基本的には、お客さんと会話をする、注文を受けてカクテルを作る、カクテル提供後にまた会話をするという流れで店内は進んでいきます。一応どんなカクテルを提供したのかによって聞ける話も変わってきます。

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接客パートの合間には自室過ごす時間もある。買い物をして部屋をにぎやかにしたり、スマホにあるアイドルのブログを見たりして、「va-11 hall-a」の舞台グリッチシティのことがよくわかります。また時には家賃を請求されることもあるので、散財にはくれぐれも気を付けて。

 

(サントラ紹介)

 今回紹介するサントラはこちらからです。

VA-11 Hall-A: Complete Sound Collection

VA-11 Hall-A: Complete Sound Collection

 

CD3枚組75曲入りの大ボリューム。実は「va-11 hall-a」のサントラはこれ以前にも3枚リリースされています。今回紹介するアルバムは、これまで発表された3枚を1つにパッケージしたものです。まとめて聴けて、とても便利でお得。 

VA-11 Hall-A: Prologue (Orignal Soundtrack: Sounds from the Future)

VA-11 Hall-A: Prologue (Orignal Soundtrack: Sounds from the Future)

 

 

VA-11 Hall-A (Original Soundtrack: Second Round)

VA-11 Hall-A (Original Soundtrack: Second Round)

 

 

Va-11 Hall-a Ex: Bonus Tracks Collection

Va-11 Hall-a Ex: Bonus Tracks Collection

 

それぞれ amazon musicやbandcampなどで購入することもできます。今回紹介するサントラはCDのみ、しかも輸入盤なので手に入れる時はご注意ください。大手レコード店は大体取り扱っているかと。

 

(アルバムの特徴)

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アルバム内に収録されている曲は、一部(アレンジアルバムに収録されていたもの)を除いて、全編ゲームプレイ中に聴くことができます。そして収録曲のほとんどは、ゲーム内のジュークボックスに収録されているものです。

バーでの接客前には、店内でかかる曲を上記のジュークボックスの画面で12曲選択し、店内BGMとしてそのまま流し続けることになります。一度選択すると、その接客中は変更できませんが、リピート、シャッフルなどは可能です。

このことは2つの良い点があると思います。1つは、楽曲を選ぶことで、店のイメージをコントロールすることが出来て「自分はバーテンとしてこの店にいる」というバーテンダーの楽しみを味わえること。もう1つは、プレイ中にどの曲がかかるのかをある程度自分でコントロールできること。通常、たとえばRPGのイベントシーンなどは、特定のイベントで流れるBGMは決まったものなので、曲とゲームの思い出が強くリンクしやすいものだと言えます。「va-11 hall-a」の場合、接客中の曲がユーザー選択式であること、そしてランダムに流れてくることから、このRPGの喩えとは反対に、曲とゲームの思い出は各ユーザーによって異なることになると言えます。これはある意味ゲーム音楽的ではない側面だと思いますが、一つの曲に集中するのではなく、ジュークボックスを選んでから接客するまでの、ゲーム体験そのものが思い出として残りやすくなるのではないでしょうか。

 

(曲について)

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ドット絵で表現されたちょっと懐かしさを覚える雰囲気にとても馴染むように、流れてくる曲もどこか懐かしさを感じるものが多いです。曲調としては、シンセサイザーを多用したシンセポップ、テクノポップフュージョンなどが近いといえます。

また、使用された音源もどこか懐かしい、まるでPC-9801の頃のアドベンチャーゲームで使われているような、レトロな音色を感じることができます。バーで流れても不自然にならない、耳になじみやすく、繰り返し聴いていたくなる曲が多いと思います。

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バー「va-11 hall-a」を訪れるお客さんは、立場も人種も年齢も性別も様々です。物語の舞台となるグリッチシティは、高度に科学技術が発達した近未来都市であり、そこに住む人たちは体内に埋め込まれたナノマシン技術などによって管理される、超管理社会となっています。そのような世界で生まれる軋轢などを感じ日々生きている人たちが、何を思い何を考え生きているのか、カクテルを飲みジルたちと話をしてゆく中で、普段見せない心の内を垣間見ることができます。

「va-11 hall-a」の楽曲はそんな人たちの心の隙間に入ってくるような、そんな優しい曲が多いと思います。まるでバーテンダーが作ったカクテルが、そっと身体の中にしみこんでいくように、厳しい社会を生き抜くために見せている姿と、日々自分が感じている心との隙間に、そっと入り込んで寄り添うような。

ほとんどがボーカルのない曲なので、車を走らせながら流す聴きするにもピッタリなのですが、「va-11 hall-a」の物語を読みながらしんみりするにも合っている曲ばかりなので、ぜひゲームプレイ中に聴いてみてください。

 

最後におすすめを数曲紹介させて頂きます。

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♪Safe Haven

ジルのアパートで流れる曲。シンセピアノに似たメロディが特徴的。明るく聴きよいメロディが家にいる安心感を演出してます。

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♪Every Day Is Night

キーボードとサックスが交互にメロディを演奏してゆく、アップテンポで明るい曲。まさに営業開始!という雰囲気に合っていると思ったので、筆者はいつもジュークボックスの一曲目にしていました。

 

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♪Heart Of The City

ギターが刻むイントロが印象的。わりとシンセが中心となって展開する曲が多い中、この曲はまるでライブのようにギターが様々な表情をみせてくれる曲でした。

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♪Dawn Approaches

タイトルのようにまるで夜明けを思わせるようなゆったりしたシンセのメロディが印象的。とても光を感じる曲ですが、それは朝陽だったり、ネオンの光だったり、誰かの瞳に移る光だったりするのがこの街なのでしょう。

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♪Believe in Me Who Believes in You
エンディングで流れる曲。エンディングは複数用意されており、また各キャラクターのエピソードも途中のカクテルをどのように出したかによって変化するそうです。出会った人たちのことを、とてもいとおしく思えるそんなエンディングでした。 どんなに辛くても、これまでどんなことがあっても、それでも次の朝はやってくる。そんなエンディングに相応しい曲でした。