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一日限りなんてもったいない!——「逆転裁判LIVE OBJECTION! 2018」夜公演感想

2018年6月10日に開催された逆転裁判LIVE OBJECTION! 2018」夜講演を観覧したので、レポート風に感想を述べる。会場は渋谷道玄坂近くのduo MUSIC EXCHANGE。夜講演はあいにくの雨模様にも関わらず多くのファンが駆けつけた。とにかくサイコーのライブだった。

 

 

バンドアレンジというダイナミズム

逆転裁判シリーズの音楽演奏会といえば、長らくオーケストラでのコンサートが公式の手によって行われてきた。弦が躍り、管が舞う。優雅で豪勢な音は「法廷」という緊張感に包まれた場を再現し、盛り上げた。

今回はうって変わってバンドアレンジである。シリーズの作曲を手掛けたキーボードの岩垂徳行氏を中心に、エレキギター、ベース、ドラムスの編成。これが実にいい。ゲーム内で聴いた音色から想像しやすい音が鳴る、そしてほぼゲームと同じテンポで演奏される。このスピード感がグルーブを生む。キーボードとエレキギターが主旋律を交互に演奏し、ソロを演奏する。力強い音色が観客の心を躍らせ、拍手と歓声が舞う。曲の魅力がダイレクトに力強く伝わって、とても楽しかった。

 

聴きやすく彩り豊かなアレンジに

バンド演奏だとゆったりした曲も、激しい曲もどちらも演奏できる。「綾里真宵 ~逆転姉妹のテーマ feat.ジャスティス」は明るくゆったりと、「ゴドー ~珈琲は闇色の薫り feat.ジャスティス」はしっとりかつ伸びのあるギターが哀愁を誘う。

対して「追求・逆転裁判123 SUPER BAND メドレー」「追求・逆転裁判456 SUPER BAND メドレー」の怒涛の追及ラッシュ。1の追及でギターが唸る!3の追及はいつ聴いても泣ける!123メドレーは緊張感のある1から劇的かつゆったりした3への変化が味わえて実に面白かった。456は123に比べるとテンポは遅めだがBメロで聴かせる伸びのあるメロディと主旋律でグイグイくるのではなく、バックで流れている音との掛け合いが実に心地よかった。

ゲストボーカルとして霜月はるかさんを招いて披露されたのは「奉納舞 feat.霜月はるか」。ゲーム内では異国情緒あふれる曲調だったが、プログレ調にアレンジされたそれは祈りにも似た歌声と唸るバンドサウンドが絡み合い独特の世界を作り上げていた。

 

ファンと演奏者が一体となれた

 ライブハウスでのスタンディング観覧、そしてサイリウム持ち込みありなどもあり、開演中はかなり自由に楽しむことができた。MCの方の自由に盛り上がってほしい、という開演前アナウンスも実によかった。盛り上がる曲では声をだし、拳を振り上げ、曲に合わせた色のサイリウムを振り、跳ねて踊って演奏者にエールを送って、盛り上がれることができた。そんな会場の盛り上がりが最高潮になったのは「LOVE LOVE GUILTY feat.ジャスティス」「大江戸戦士トノサマン feat.ジャスティス&オールスターズ」そしてまさかの「ポットディーノ ~Ethno-Rock feat.ジャスティス」などのボーカル曲!熱烈なファンによる一糸乱れぬサイリウムとコールアンドレスポンスで共に盛り上がったラブギル、御剣検事はじめみんな大好きご存知トノサマンは会場全体で大合唱!まさかまさかのポットディーノは岩垂さん自らがゲーム内の尋問台詞から歌詞を作り、マンドリンによる穏やかな演奏も、メタル調の激しい曲調も両方歌いこなす姿はもう笑うしかなかった。サイコーだった。ここまでやってくれたことに感動して笑いが止まらなかった。

 

なんといっても「追究~つきとめたくて」

 このライブで一番興奮したのはなんといっても「逆転検事・御剣 SUPER BAND メドレー」で演奏された「追究~つきとめたくて」だ。ゲーム内でも実に劇的な場面で使われて物語を大いに盛り上げた曲であるが、このヒロイックで熱いロックはバンドサウンドで演奏されるのがサイコーだった。キャッチ—で泣ける主旋律をこれでもかとギターを泣かせて弾いてくれた福田さんには感謝しかない。この疾走感、このメロディ、それを支える落ち着いたベース、激しいドラムスなどすべてが完ぺきだった。この曲をきけて本当によかった。共に盛り上がれて本当によかったと心の底から思う。