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ライブレポ:LIVE・A・LIVE・A・LIVE 2018 鶯谷編

2018年9月7日(金)に東京キネマ倶楽部にて開催された「LIVE・A・LIVE・A・LIVE 2018 鶯谷編」に昭和の男が参戦してきた。これほど、昭和の男でよかった、と思えたのはLAL近未来編初プレイ以来だった。興奮冷めやらないままレポをする為、セットリスト等誤りはご勘弁頂きたい。なにしろメモを取る余裕もなくずっと興奮しっぱなしなので記憶がとんでいるのだ。

 

・24年間の想いが隅々まで詰め込まれた濃いライブ

・曲を鮮やかに彩り、なおかつ個性も加えた圧巻のLaiD Back Gorilla

・セットリスト振り返り及び感想

 

・24年間の想いが隅々まで詰め込まれた濃いライブ

LALのライブは実は3年前にも「吉祥寺編」と称して開催されていた。今回はその時の好評を受けての第2回開催となる。とはいえゲーム発売してから24周年。それほど昔のゲームがこうしてライブを開催できたのは、やはりファン及び主催の作品への想いが強かったからだ、ということがヒシヒシと伝わるライブだった。チケットは先行・一般含め完売、開催前の東京キネマ倶楽部前は異常なまでの熱気に包まれていた。

そんなファンの想いにLALの生みの親である時田貴司氏をはじめ関係者が次々と応えてゆく。開演前の挨拶から「あの世で俺に…?」と観客に問いかける時田氏、そして全力で\詫び続けろ!/と応える観客。この世でもっとも不可思議なコールアンドレスポンスだったが、ゲーム内のネタに瞬時に反応できる濃いファンの集まりだからこそできること。そのファンの熱量を会場全体の盛り上がりへと昇華させてゆく時田氏の腕が光った。

また当日は作曲者の下村陽子氏も登壇し、またゲストとして元スクウェア岡宮道生氏もやってきて当時の思い出話を語る。さらにはイメージイラストを担当した皆川亮二氏、藤原芳秀氏も登壇。漫画家のお二人が壇上でライブドローイングするのを皆で見届けるという一風変わったとても贅沢な時間も設けられた。思い出話をしながら驚きの速さで絵を描き上げる両名には脱帽だった。ただただ感謝の一言に尽きる。こうしたことが実現できたのもスタッフ側の作品愛の賜物だと言える。観客も開催側も実に濃い愛情を詰め込んだライブだった。

 

・曲を鮮やかに彩り、なおかつ個性も加えた圧巻のLaiD Back Gorilla

今回のライブを演奏したのはLaiD Back Gorilla。他のゲーム音楽ライブでも見かける彼らだが、彼らのパフォーマンスは実に素晴らしかった。圧巻だった。目を見張ったのが彼らの演奏テクニックの高さ。下村氏が(直接的にLBGに対して語った内容ではないが)「製作した当時はまさかこうしてライブ演奏されるものだと想定していなかったので、好き放題に色んな音を詰め込んでとても演奏するのが難しい曲ばかりだと思う」と語っているように、LALの曲はゲームの特性上とてもバラエティに富んでおりなおかつテンポも早くかなり演奏するにはクセがあるものばかり。ところがLBGの方々はそんな様子が微塵もない、堂々と余裕のある素晴らしいプレイで我々の感動を誘う。またキーボードの音色がSFC実機から流れてくる音色に寄せて演奏するコダワリや、各ソロパートでの掛け合い及び速弾きなどの技術の高さがとにかく光ったライブだった。楽曲のもつ良さはそのままに、LBGのテクニカルでセクシーな音の応酬!アレンジが進めば進むほどLBGの味が出てくる完璧な演奏だった。

 

・セットリスト振り返り及び感想

LIVE・A・LIVE ~ SELECT・A・LIVE

勇壮で伸びやかなタイトル曲からスタート。やはり最初はこの曲でなくちゃ。キャラクターセレクト曲もちゃんとやってくれたのは好印象。各キャラクターごとに演奏してくれてもよかったです自分は。

 

現代編

最強—VICTORY ROADー ~ 猛者達... ~ KNOCK YOU DOWN!

キャラクターセレクト曲やった後に、現代編のキャラクターセレクト曲を重ねてきたのはいわゆる天丼ってやつだ。そこからのKNOCK YOU DOWN!は最高だ!LBGのロックが前面に出てきてノリノリに。電子バイオリンの方がメロディを弾きながら音が重なりあってゆくのは実に心地よい。

 

原始編

いいお天気でしょ! ~ Kiss of Jealousy

雰囲気を変えて原始編。明るく伸びやかな電子バイオリンに乗って「いいお天気でしょ!」はまるで上質なポップスのような綺麗なメロディ。うって変わってバトル曲「Kiss of Jealousy」のノリの良さである(6/8拍子?)ドラムスがまあ気持ちいい、とても気持ちいい。会場全体で手拍子しながら盛り上がれた。この辺りから次はどの物語の曲をやるのかな、と構成の妙でワクワクするように。

 

西部編

WANDERER ~ THE WILDS

個人的思い出ポイントその1。なんといってもAKIRAさんによるWANDERERの口笛が鳥肌ものであった。あれほど口笛に集中したのはPRESS STARTワイルドアームズの曲を聴いた時以来だったと思う。

 

 

SF編

CAPTAIN SQUARE ~ Unseen Syndrome ~ 星屑のキャプテン

個人的思い出ポイントその2。衝撃だったのは、まさかのUnseen Syndromeを演奏した時。明るく軽快なCAPTAIN SQUARE(音色が原曲寄りだったのが、またとても素敵でした)から一転、暗闇の中で轟音のベース、ドラムス、バイオリン……まさかあのSF編の絶望を現実でも感じるとは思わなかった。LBGはプログレですよ。これほど見事なアレンジはないし、彼らでないとできなかったと思う。

 

功夫

在中国的戦闘 ~ 鳥児在天空飛翔 魚児在河里遊泳

功夫編です。実に涙腺に効きます。鳥児在~は下村氏のアレンジアルバム等に度々収録されているが、バンド編成で聴くとまた新鮮。胡弓にも似たバイオリンの音がとても柔らかく、心山拳の名に連なる彼らのことを思ってまた泣けてきた。

 

幕末編

密命 ~ 忍音 ~ 殺陣! ~ MEGALOMANIA

個人的思い出ポイントその3。というかここは興奮しすぎて記憶がない。幕末編演奏前のMCからHIDE×HIDEをお迎えして、楽曲フルで演奏される。ほぼずっと尺八が鳴っている曲だったが、石垣秀基氏は三本の尺八を使い分けて休むことなく吹き続ける。尺八ってそんな音出せるのか!?そんなに長く音を伸ばせるものなのか!?とその技術の高さに驚くばかり。また幕末編の曲は基本的にテンポが速めなのだが、原曲のテンポそのままに駆け抜けてゆく感じがとても心地よい。三味線の尾上秀樹が実にクールな顔で、激熱の速弾きをして会場を盛り上げてゆく。

圧巻はMEGALOMANIA。殺陣!の見事な演奏に興奮したまま、MEGALOMANIAに突入したところで会場の盛り上がりは最高潮!吠える尺八叫ぶギター、踊るベースに舞うバイオリン、そしてそれらをどっしりと支えるドラムスと三味線。まさに音の渦と表現するに相応しい狂騒がそこにあった。自分は様々なゲーム音楽を聴いてきたつもりだったが、正直この日のMEGALOMANIAには頭をぶん殴られた時のような衝撃だった。最高だった、これほどのパワーを感じられたことは初めてだった。

 

近未来編

Wait for Truth ~ PSYCHOで夜露死苦!! ~ MEGALOMANIA

興奮冷めやらぬまま近未来編へ。強烈なギターソロからのPSYCHOで夜露死苦!!がゴリゴリのロックで最高だった。LBGのメンバー同士のソロ掛け合いなどがノリにノッていて見ているこちらも気持ちが沸き上がる。なんどブラボーと叫んだことか!

盛り上がってゆく中、今度はLBGのメンバーのみで改めてMEGALOMANIAを披露。様々な者たちの業や憎しみが誇大妄想狂のごとく膨れ上がり、ぶつかり合う中で殴り合う、そんな主人公たちの激闘を表したようなLBGの轟音だった。まさか二回もこの曲を、違ったアレンジで聴けるとは…

 

中世編

届かぬ翼 ~ 魔王山を往く ~ 魔王への叙曲 ~ 凛然なる戦い ~ ILLUSION... ~ PURE ODIO

クールダウンしてから中世編。届かぬ翼から始まり、曲を追うごとに徐々に曲も激しくなり緊張も高まってゆく構成が実にいい。それはあの時オルステッドが苛烈な運命の中迷いながら魔王山へと向かう時の気持ちであり、最終編で主人公たちが改めて魔王山を登ってゆく時のあの緊張感とリンクしているようでとてもよかった。凛然なる戦いでのベースが実にセクシーで良い。PURE ODIOを演奏する頃にはバンドのテンションも最高潮であり、各パートのソロ掛け合いが怒涛のように繰り広げられていた。

 

Live for Live

個人的思い出ポイントその4。ライブラストはこの曲。原曲に忠実な演奏だった。再三申し上げているがキーボードの音色が実に原作通りだったと思う。あのシンセの音。やっぱあの音だよLive for Liveは。あの音でゲームを遊んだ時の気持ちが蘇るんだ。

全てが終わり、皆がそれぞれの世界へと帰ってゆく。それぞれのどんな世界でも、魔王が生まれてしまった中世編でも、必ず朝陽が昇ってくるという希望に満ちたエンディングが目を閉じると浮かんでくる、そんな演奏だった。一番大好きな曲だったので、この曲を演奏してくれて本当に嬉しかった。

 

アンコール

Go!Go!ブリキ大王!!

個人的思い出ポイントその5。鳴りやまない拍手と観客のアンコールに応えて最後は時田氏、そしてリードギターに岡宮氏を迎えて観客全員と共に大合唱。時田氏が関西地方及び北海道で被災された方々へ届け!と力強く歌う姿を見て、気づいた。この歌は応援歌なんだ。何よりも自分を強く奮い立たせ、困難に立ち向かう己を支える応援歌でもあるんだと。24年間の万感の思いを込めて、そこにいた全員で大合唱できたことは一生忘れない。昭和の男で本当に良かった。LALが好きで、そしてLAL好きな人たちで一緒にこのライブが出来たことが本当によかった。そう心の底から思えたエンドだった。

   

最後になるが、今回のライブ個人的MVPは、バンドマスターAKIRAさんが近未来編のMCをやっている時に「アキラ—!!」と歓声が沸き上がる中、一人だけ「三沢ーー!!」とヤジを飛ばした観客の方です。最高のタイミングで最高のヤジをありがとう。確かにここはLALの世界だ。