Xenoblade2の音楽を聴こう~平松健治さんに注目して~
(この記事は、ゲーム音楽探究ゼミトライノートの第98回ゼミ「ゲーム音楽に関する小研究発表会」にてだらけが発表した内容を編集したものになります)
2018トライノート小研究発表スライド - Google スライド
(目次)
ゼノブレイド2サウンドトラック紹介
2018/5/23発売。収録曲はなんと105曲。参加した作曲家は、光田康典氏、ACE(工藤ともり氏、CHiCO氏)、平松建治氏、清田愛未氏の総勢4組5名。また光田氏は音楽プロデューサーも兼任し各作曲家と製作陣との橋渡し役も務めた。収録曲はオーケストラ生演奏をそのまま録音したものも多く、オーケストラ演奏は神奈川フィルハーモニー管弦楽団が担当。またANÙNA、Jen birdもアーティストも参加し、宗教音楽が色濃く反映されたものから激しいロック調の曲、しっとりした歌謡曲調の楽曲など多様な音楽が楽しめるとても豪華で贅沢な作品となった。
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- アーティスト: 光田康典,ACE(工藤ともり、CHiCO),平松建治,清田愛未
- 出版社/メーカー: SLEIGH BELLS
- 発売日: 2018/05/23
- メディア: CD
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平松建治さんの担当した曲紹介
平松氏は前作「ゼノブレイド」の時に、ACE+として楽曲制作に参加していた。今作は改めて平松建治としてクレジットされている。今作では25曲(共作を含む)の作曲を担当。ゲーム内で様々な形で使われており以下に一部紹介する。
・イベントムービー等で使われる曲
目覚め(第1章ホムラ覚醒時)、交わる剣(緊急時のイベントなど)、Counterattack(各章最後のムービー等)
・バトル曲
戦闘!!(通常バトル)、Monster Surprised You(クエスト討伐対象等バトル)、さらに名を冠する者たち(ユニークモンスター戦等)、それでも、前へ進め!(モルスの断崖以降通常バトル)
・フィールド曲
インヴィディア烈王国(インヴィディア体内)、首都フォンス・マイム(インヴィディア首都)、スペルビア帝国~赤土を駆け抜けて~(スペルビア)
様々な場面で平松氏の楽曲を聴くことが出来るが、どの曲にも平松氏”らしさ”を感じるところがあるだろう。「気持ちが盛り上がる」「胸が熱くなる」「かっこいい」など高揚感を煽るようなダイナミックでドラマティックなメロディなどが特徴といえる。ここからは、平松氏の楽曲の特徴を考えて、その魅力を探ってみようと思う。
魅力①ハッキリした曲構成
トライノートの発表では「戦闘!!」と「スペルビア帝国~赤土を駆け抜けて~」を取り上げてその曲構成を分析した。いわゆる歌謡曲やポップスのような”Aメロ→Bメロ→サビ”といった主旋律がハッキリと聴くことが出来る曲構成になっている。またそのメロディも実にキャッチ—で一度聴いただけで耳に残りやすい。構成がハッキリしていることで、この曲がどこで盛り上がるのかがわかりやすいと言えます。親しみやすく心に残りやすい曲なので、何度も繰り返し聴きたくなるのではないか。
魅力②心を掴む主旋律
魅力①にも関係するが、平松氏の楽曲はとてもキャッチ—だ。何より主旋律が聴きやすく、劇的な展開をするとても心が躍るメロディであることが多い。ここも”歌謡曲”に近い親しみやすさがあるのかもしれない。またこの「主旋律がハッキリしている」というのは、いわゆるゲーム音楽の特徴にも繋がっていると考えられる。筆者が考える「ゲーム音楽の特徴」については割愛するが、古くからゲーム音楽はそのゲームハードの性能によって使える音色等が制限されており、必然的に主旋律がハッキリと主張する楽曲が多く馴染みのあるものだったということだ。
魅力③メリハリがハッキリしている
発表では「スペルビア帝国~赤土を駆け抜けて~」を例に挙げて説明した。この曲ではイントロの連符、Bメロの”キメ”など、メロディだけでなく楽曲の展開がとてもダイナミックで高揚感を煽るものである。かと思えば、“サビ”が終わった後のトランペットソロによる間奏はゆったりとした曲調にガラリと姿を変える。いわゆる「静と動」「キメとタメ」と表現されるような曲展開のメリハリをはっきりつけることが印象的と言えます。
魅力④2ループ以降で大きく変化する
発表では「さらに名を冠する者たち」と「Counterattack」を例に挙げた。
本題から少し逸れるが、「さらに名を冠する者たち」の曲の熱さは最高だ。イントロのまるで龍の咆哮のようなギターの叫びから始まり、高速でなだれ込んでくるストリングス、ドラムス。”Bメロ”でのギターとストリングスの掛け合い、そしてエモーショナルなギターが奏でるメロディ。強敵との戦いを熱く演出するに相応しい熱い曲である。
これまで述べてきたように、平松氏の楽曲では、曲構成、主旋律、曲のメリハリなどで大きく気持ちが盛り上がるように作られていることが分かった。さらに細かく楽曲を分析してみると、「さらに名を冠する者たち」では1ループ目(イントロ~”サビ”終了後の間奏まで)と2ループ目(2回目の”Aメロ”~2回目の”サビ”)で様々な変化を織り交ぜている。2ループ目ではAメロにギターとツーバスの音を追加し、Bメロでは主旋律を演奏する楽器がトランペットへとスイッチしている。同じセクションでも使っている楽器を変える、またはアドリブ要素を加えることでさらなる変化を加えてくる。こちらが思い描いていた曲への期待をさらに越えてくることで、より魅力的に感じるのではないか。
長々と述べてきたが、ゼノブレイド2における平松建治氏の楽曲はどれも最高にかっこいい。ぜひプレイ中にはその楽曲にも注目してほしい。
最後になりましたが、ゼノブレイド2発売一周年おめでとうございます。