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コンサートレポ:Gloria Angelicus Philharmonic Concert

2018年2月11日というゼノギアス20周年記念日に開催された、PSの名作RPGゼノギアス」の楽曲を演奏するコンサート「グロリアアンジェリックスフィルハーモニックコンサート」にお邪魔してきました。ゼノギアスのことが好き!という有志の皆様で集まったアマチュアコンサートということでしたが、本当に素晴らしいコンサートだったのでレポを書きます。

2011年に発売されたゼノギアスのオーケストラアレンジアルバム『MYTH』の楽曲を主に演奏する、ということが結団のきっかけと代表の方がお話しされていたように、第二部がMYTHの楽曲中心、第一部はゼノギアスオリジナルサントラからいくつか曲を抜粋して演奏されていました。演奏はもちろん素晴らしいものでしたが、それ以外にもプログラム冊子のデザインのこだわり(夜空の中に片翼の天使がそれぞれ楽器演奏しているとか、演奏曲目をEp1.のように表記されているところなど) 

以下演奏曲目を辿りながら印象に残ったところを述べてゆきます。 

 

 

 

第一部

01.つわものどもが夢のあと

02.憧憬~翼

03.大空と雲ときみと~蒼き旅人

04.星の涙、人の想い~夜空一杯の星を集めて

05.導火線~紅蓮の騎士

06.グラーフ 闇の覇者~傷もてるわれら 光のなかを進まん

07.予感~覚醒

 

「つわものどもが夢のあと」でユグドラシル出航!ティンパニがとても心地よかったです(全編通してティンパニの方の活躍が光ったコンサートでした)、サントラと同じように2ループ演奏されてた感じ?だったと思います。ループの中で演奏に強弱をつけたり、メロディを別のパートでそれぞれ演奏されたりしててとても楽しかったです。技術云々についてはよくわからないけれど、奏者の方々の心が一つにまとまっているように強く感じた次第です。フィールド曲の「憧憬」(聞きたかった曲です!)の心地よさから飛行曲の「翼」への流れが気持ちよかった。

個人的にはバトル曲を楽しみにしていたので、「導火線」からの「紅蓮の騎士」はとてもワクワクしながら聞いていました。色んなバトルシーンを思い出すのですが、「導火線」は低音がとてもよく効いて心にググッと響いてきたし、「紅蓮の騎士」はどこまでもかっこよかったです、「紅蓮の騎士」も曲の中での強弱がハッキリしていたのですが、音を鳴らす!音を止める!というところで奏者の皆様の息がピッタリとあっているのが本当にかっこよかったです。

また今回は団員の方々の他に、コールクリスタルマナという合唱団の皆様が参加されていたのですが、「傷もてるわれら 光のなかを進まん」などのようにコーラスがある曲ではCCMの皆様が大活躍されていました。ゼノギアスでは”宗教”っぽいイメージの曲(具体的には教会音楽とか讃美歌を想起させるもの)が幾つかあって、そういった曲が物語を強く強く後押ししてくれてたしそれがゼノギアスの音楽の大きな魅力の一つだと思います。曲と物語から伝わる緊張感、荘厳さ、神々しさをそのままコンサート会場に再現してくださったCCMの素晴らしいコーラスでした。

曲そのものの素晴らしさや、それを演奏・歌唱する皆様の素晴らしさもとても感じてましたが、選曲及びその編曲にこだわりを強く感じました。特定のシーンを想起させるもの、キャラクターを繋げるもの、サントラの順番通りにして気持ちよくきけるもの、などなど編曲した方々の意図を想像しながら聴くのも楽しかったです。

またゼノギアスはとても長くて濃厚な物語ですが、その中で同じ曲が様々な場面で使われているゲームでもあります。そのせいか、曲を聴くと同時にプレイ中のいろんな場面のことを同時にたくさん思い出しました、あの時はこういうことがあった、ここではこうだった……というように演奏を聴きながらゲーム内で起こった色んなことを思い出していました。それがグッとくるんです。ゲーム音楽ならではの楽しみ方もどっぷりできるコンサートだと思いました。

 

 

第二部

08.冥き黎明

09.海と炎の絆

10.おらが村は世界一

11.遠い約束

12.死の舞踏

13.やさしい風がうたう

14.風が呼ぶ、蒼穹のシェバト

15.飛翔

(小休憩)

16.悔恨と安らぎの檻にて

17.神無月の人魚

18.lost.... きしんだかけら

19.盗めない宝石

20.最先と最後

21.SMALL TWO OF PIECES (Off Vocal ver.)

 

「覚醒」で終わった第一部を受けて「冥き黎明」ではじまる第二部でした。平たく言って最高です。ゲームスタートした時のあのムービーを一通り思い出しながら聴いてました。「冥き黎明」の最後の解放感ある優しいメロディは本当に大好き。そしてそれをしっかりと演奏してくださったので実に尊みが深い第二部のスタートでした。

第二部は今回のコンサートのメインテーマでもある『MYTH』収録曲を中心に演奏されてました。『MYTH』はあのゼノギアスの素晴らしい曲がオーケストラアレンジされてこんなに素晴らしく!!と大興奮しながら聴いていましたが、それを生演奏してくださるなんて!!というさらに大興奮のプログラムでした。アレンジも『MYTH』で演奏されていた感じに添いながら。なので「遠い約束」「神無月の人魚」はいずれもピアノソロ演奏。広いホールの中に「遠い約束」のドラマティックなメロディや、「神無月の人魚」の悲しく透き通るような音が鳴り響くのはとても素敵な時でした。

突然ですが「海と炎の絆」の繰り返されるあのメロディが好きなんです私。『MYTH』のアレンジが大好きだったので、それと同じように今回は演奏してくださったのが個人的にとても嬉しかったです。前半のゆったりした演奏から、後半のタンバリンが出てきて周りの音を一気に活気づかせている展開も大好きだったのでもう本当に最高でした。バルトっぽくていいんですよ、『MYTH』の「海と炎の絆」は……。優しさと勇敢さがないまぜになったそれが。

 第一部の時にバトル曲が楽しみだった、と書きましたがそれは第二部でも同じ。「死の舞踏」は『MYTH』で聴いた時からずっと是非とも生演奏で聴いてみたい曲でした。ところで、ゼノギアスはPSのゲームなので、その音楽は今のように録音した音楽データを使っているのではなく、内臓音源で曲を奏でていたわけですが、作曲者である光田康典さんはゼノギアスの音楽を「本来ならオーケストラで演奏されるべき音楽」というイメージで作曲されていたのでしょうか……?詳しくはわからないのですが、この「死の舞踏」をはじめ実にオーケストラアレンジがとてもよく合う曲ばかりだと感じました、ゼノギアスは。閑話休題。「死の舞踏」は通常バトル曲なので、とても多く聴く曲の一つだと思います(またゼノギアスエンカウント頻度が高いもんで)。通常バトル曲で、この盛り上がり!とてもパワフルなイントロから刻まれる細かいリズム、駆け上がる弦楽器、そこから畳みかけるような盛り上がり方!大興奮でした本当に。この曲もまた緊張と緩和がバランスよくて心地よかったです。

シェバトを経てからの、「飛翔」は……言葉を失ってただただ泣いてました。「飛翔」のオーケストラ演奏を聴くのは初めてではなかったのですが、それでもこうして生で聴くたびに、伸びやかな感じがいつも澄んだ青空を思い出させてくれます。清々しくて、力強くて、その両方を感じさせてくれる素敵な演奏でした。

CCMのコーラスが一番すごいと感じたのは「最先と最後」でした。ソロの方の声が良く聴こえてきたし、『MYTH』の時とはまた印象が違うなって。ソロの方は別にマイクついていたのかな……?

 

 

アンコール

LAHAN

みんな……光田康典さんのコンサート、最高だったんだね!

それを改めて確信したアンコールでした。LAHANで終わる、笑顔で終わるってのは最高に楽しいけれど、でもやっぱりあの手拍子は難しいです!でもこうして、観客も一緒になって明るく終われる曲を選んでくださったことに感謝してますし、あのハイタッチは皆様の万感の思いが詰まったものだったんだろうと、そう思いました。よくここまで、こんな素敵な形でコンサートをしてくださった、というその思いで一杯になりました。

 

駆け足になってしまいましたが、実に原作愛にあふれているというか、リスペクトの塊というか、とても安心しながら心地よく聴くことが出来た素敵なコンサートでした。